オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。
一昔前のペットブームでは、ダックスやチワワ、トイプードルの子犬をペットショップで購入して飼い始める方がたくさんおりました。
それに代わって今は、ペットショップではワンちゃんではなく猫ちゃんを購入して来院される方が増えてきましたね。
ペットショップで売っている猫ちゃんは、いわゆる「洋猫」です。
最近では、スコティッシュフォールド・メインクーン・マンチカン・ベンガル。。。
色んなかわいい子猫ちゃんが来院するようになりましたが、それに伴い10年くらい前にはあまり見なかった感染症もしばしば出逢う機会が増えています。
先日、下痢(血便)で来院した猫ちゃんのうんち検査の映像です。
この「おしくらまんじゅう」状態のアメーバのような虫が、猫ちゃんの『トリコモナス』という寄生虫です。
これだけたくさん出るのはとても珍しいのですが・・・
少数検出される場合でも、猫ちゃんはひどい下痢に悩まされるのです。
(動画をよく見ると、さらに小さならせん状の細菌が走り回っているのも見えるでしょうか。
悪玉菌であるらせん菌がこれだけ大量に増殖していることから、腸内環境がすごく悪いことも示唆されます。)
猫のトリコモナスは学名「Tritorichomonas foetus」と言い、もともと日本にはいない寄生虫でした。
それが、海外からの猫ちゃんの輸入とともに入ってきたと言われています。
この寄生虫が厄介なのは、治療してもなかなか落ちないことです。
一般的に「メトロニダゾール」という抗原虫薬を投与するのですが、これがとても苦い・・・
猫ちゃんは苦いのがとても苦手なんで。。。投薬に失敗すると口の中が泡だらけになって、泡のよだれがつららのようにダラダラと…
この苦い苦い薬を頑張って飲んでも完全には落ちきらないことが多いので、私たち獣医師も非常に治療に苦労しています。
海外の様々な報告で「ロニダゾール」という薬が効くという記載を見かけるのですが、この薬は日本では手に入らず、輸入したとしても、もともとが鳥用の薬で粉の量がとてつもなく多いということでなかなか現実的には使えません。
しかし、抗原虫薬が苦くて飲めないケースでは、過去に仕方なく違う抗生物質を投与したケースがありましたが、それでも改善しましたので、「①下痢に対する対症療法をしっかりやること」と、最近では新発売のヒルズ『腸内バイオーム』などのフードを使って「②腸内環境を整えること」も寄生虫の活動を抑え込むのに大事なのかな〜と色々と考えて取り組んだりしているわけです。。。