SDMAは健康診断としても最適な検査です!

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

慢性腎臓病を早期に診断できる検査『IDEXX SDMA』ですが、以前のブログでオークどうぶつ病院両院で1月末より院内で検査ができるようになったことをお知らせしておりました。

 

IDEXXさんからとてもよく出来たガイド本をいただきました。

 

 

今回は私のケースレポートを1つ。実はこういったケースもあるんですよ。

 

もしSDMAを測定してなければ、「全然問題ないですね~」で終わってたかもしれません。。。

 

従来、腎臓が悪いかどうかを血液検査で測定する場合、BUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)、P(リン)の3項目を調べます。

今回なぜSDMAまで測定したのかというと、明らかに説明のつかない多飲多尿(水をがぶがぶ飲んで、色の薄いおしっこがたくさん出る)症状があったからなんですね。

 

 

これが、国際腎臓病学会(IRIS)が作った慢性腎臓病の犬猫のステージ分けのガイドラインです。

筋肉の老廃物であるクレアチニンでステージ分けを行うのは以前から変わりませんが、SDMAの過去のブログ記事でも何度も書いていますが、クレアチニンはやせている(筋肉の少ない)動物ではあまり上がらないので、病気を過小評価してしまうのです。

上の図のように、SDMAが25μg/dL以上になると、ステージは1個上がってステージ3として評価しましょうとなっています。

ですから今回のワンちゃんの場合、クレアチニンだけ見ると1.5でステージ2となるのですが、SDMA≧25によりステージが1つ上がってステージ3とみなしましょう、となります。

 

  • ステージ2:まだ食欲もある早期腎臓病の状態。食事を腎臓病用療法食に変更しましょう。

  • ステージ3:食欲も低下してくる進行した状態。食欲が落ちるようであれば、点滴治療を考慮しましょう。

このようにステージ2と3では、治療面ではずいぶんと違う結果になってしまうわけです。

今回のワンちゃんは、食欲も元気もありましたので、実質はステージ2の治療として、腎臓病用の療法食へと変更するだけで済みましたが、早めに慢性腎臓病を診断することができ、早めから対処できたのでホッとしています。

 

フィラリア予防のシーズンが始まっています。

新型コロナウイルスの影響で、例年よりフィラリア予防の開始が遅くなっている方も多いと思います。

フィラリア予防の開始前に、心臓にフィラリアの虫がいないかの血液検査を行ってから予防を始めるわけですが、その一緒の採血で内臓の健康診断の血液検査も可能です。

もし腎臓病が心配な方や、「水を飲む量が多い気がするんだよなぁ」という方は、SDMAの測定もお申し付けください。

腎臓病の多いネコちゃんの健康診断としても、心配な方は言ってくださいね!