オークどうぶつ病院けやき 前谷です。
以前、わが家のペットについてご紹介したことがありましたが、その「いちごちゃん🐹」は2歳半で老衰で亡くなりました。
しばらく経った先日、ついに2代目🐹を迎えました。
前の子は毛色がブルーサファイアだったのですが、今度はパールホワイトが良い!と子どもたちが言うのでパールホワイトの♂の子に。
ジャンガリアンハムスター(パールホワイト)の『大福くん』です。
額に黒い毛がモシャモシャっと生えてて…これがカッコいい♪(ここ数日、だんだんと薄くなってきてますが…)
元気ですごく人懐こいし、絶対に咬まないとても飼いやすい子なんですが、一つだけ問題が。。。
「うんちがゆるい!!」「ゼリーのような、ものすごーく長いうんちが出る!」んです
すぐに翌朝、うんちを持っていって検査をすると…
なんか動いてる!
真ん中の大きな動く虫は、おそらく動き方からするとトリコモナスという原虫です。
ハムスターには複数の原虫(トリコモナス・ジアルジア・アメーバなど)が寄生していることが多く、病原性のないものも多数いますので、うんち検査で虫が出たからすぐ異常!というわけでもないのです。。。
その大きな虫の周りで、らせんを打って走り抜ける小さな細菌がたくさんいることに気づかれた方いらっしゃるでしょうか。
この細菌たちも、出たからすぐに異常というわけではないのですが、これだけうじゃうじゃ増殖しているということは、おそらく腸内環境がすこぶる悪いと考えられます。
ついでにこんな卵も出てきましたよ。
これは、ネズミ大腸蟯虫(ぎょうちゅう)の卵で、これも実は病原性はないと言われていますが、一応駆虫薬は飲ませておきましょう。
ハムスターのお腹の寄生虫で気をつけないといけないのは、『小型条虫』という虫。
これは、人にも感染する可能性がある「人獣共通感染症」だと言われています。
最近、たまに若いハムちゃんをお連れの患者さんでも出てくることがあります。
ハムスターを飼うのは小さなお子さんがいる家庭が多く、そういう意味では気をつけないといけない寄生虫ですね。
うちの子のうんちは何度も検査しましたが、小型条虫の卵は出てきませんでした。
さてさて、乱れてしまっている腸内環境を整えるため、原虫を駆虫する薬と善玉菌である整腸剤をシロップに溶かして毎日こどもたちに投薬してもらいました。
すると7日後には。。。
まったく変わってないんです!
トリコモナスもらせん菌も、相変わらずうじゃうじゃしておりました。。。うんちも良くならなかったですもんね。
本当にこの原虫という虫は犬でも猫でも落ちにくい虫で、らせん菌にもあまり薬は効かなかったようです。
そこで抗菌薬の種類を変更し、再度トライ!
2種類目の薬は効いてくれたようで、だんだんと良いうんちをするようになりました。
2週間続けて飲ませて、うんちを再検査したところ …..
お分かりでしょうか。
トリコモナス(原虫)やらせん菌はすっかりいなくなり、腸内環境がとても良くなった様子です♪
このように、ハムスターの下痢・軟便は非常に治りにくく厄介な病気です。
新しくハムスターを飼い始めた方は、うんち検査で寄生虫の有無を調べることもできますので一度お越しくださいね。