レーザーでイボを取る

2023年02月16日 (木)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

先日久々にホームページのカウンターを見て気づいたんですが、当院サイトリニューアルして以来、『100万人の訪問者数』を達成しておりました!

毎日平均700人もの方がご覧になってくださってるようで、大変ありがたいことです。。。

そんな中、過去にレーザー治療のブログをいくつか書いて来てました。

全身麻酔をかけずに腫瘍の治療が出来るということで、その記事を見つけてお越し下さる方もいらっしゃいます。

 

その中の1頭、先日お越しいただいた12歳のプードルちゃんのケースです。

5年前から小さなイボを見つけてたんですが、最近トリミング後etc..に出血をすることが多くなった。ここのところどんどん大きくなってるので、レーザーで取って欲しいとのことでした。

 

診せていただくと、しこり自体はさほど大きくないのですが、出血して周りの毛とくっついて大きなカサブタが乗っかっていました。

カサブタをバリカンで周囲の毛と一緒に刈ったらこんな感じでした。

 

 

小さなしこりが複数認められ、そこから分泌物が出たり出血したりを繰り返し、カサブタを作ってしまうようですね。

おそらく皮脂腺の良性の腫瘍だと思われます。

 

出来ている箇所は、左の腰~お腹の辺りでした。(顔の周りとか本人がさほど嫌がる場所ではありません)

高さのない小さなしこりでしたので、そのまま外来中にレーザーを行いました。

とてもお利口さんで、じーっとしてくれてましたのですぐに終わりました。

どんな治療法か、興味を持たれた方は、過去ブログの記事を読んでみてください。

 

 

終わったところの仕上がりです。

見かけ上は、焦げたようになってますが、腫瘍の根本はわざと「炭化」といって低出力で焼いて仕上げますので、終わった後はカサブタのようになります。

2週間後に様子を見せに来ていただいた時の写真がコチラ↓

 

なめることもなく、「全く気にしてませんでしたよ」とのことでした

 

よーく見ると焼いた跡のようなものが若干ありますが、ほぼほぼきれいになくなってますね。

どうしても深部を根こそぎ取っているわけではありませんので、そこからまた出てくる可能性はゼロではないですが、出血したり気にしたりしていた症状はすっかりなくなりましたので、これで治療終了です。

 

腫瘍のタイプや大きさによっては、レーザーをせずに外科手術をした方が良いものもありますし、出来ている場所が顔や目のふちなどであれば、鎮静麻酔を使わないと難しいこともありますし、あえて鎮静麻酔を使って怖い思いをしなくていいように配慮することもあります。

ワンちゃんの性格に応じて…あるいは持っている持病によって…などなど、こういった治療が向いてないケースもあるので、本当にケースバイケースなんですよね。

ご興味を持たれた方は、一度ご相談にお越しください。

オールインワンのフィラリア予防薬あります!

2022年05月11日 (水)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

5月になりオークどうぶつ病院周辺でも蚊を見かけるようになりました。

ということは、そろそろフィラリア予防しとかないとな~とソワソワしてらっしゃる方も!?

 

フィラリア予防に関しては、以前ホームページのリニューアルの際に記事を書きましたが、様々な薬があるんですね~

先生のオススメは?どれが一番売れてますか?とかよく聞かれますので最近の薬のお話を。

 

ここ数年で爆発的に売れているのが、「オールインワンタイプの予防薬」です。

フィラリア予防薬ってフィラリア予防の効果についてはさほど違いがなく、色んな薬があるのは、実はフィラリア以外のプラスアルファの効能が違うからなんですよね。

オールインワンタイプというのは、フィラリア予防効果に加えて、お腹の寄生虫駆除と「ノミ・ダニ予防」までが入った薬のことを指します。

 

 

当院では、オールインワンの予防薬を2種類取り扱っております。

写真右側の『ネクスガードスペクトラ』という薬。

もうひとつが1年遅れて登場した写真左側の『クレデリオプラス』という薬です。

おやつタイプとフレーバーつきの錠剤という違いや、分かれる体重の境界が違うので、その辺りで最適なものをご提案しております。

 

 

上の図が、動物病院で日本一売れている予防薬『ネクスガードスペクトラ』の特徴を書いたものとなります。

オールインワンになったことで、ノミダニ予防も一緒に食べる薬で行うことになるのですが、以前からあるフロントラインのようなスポット剤との違いを皆さんご存知でしょうか?

 

すぐにシャンプーができる!?… それももちろん正解ですね~

獣医師の立場としてお伝えしたい一番の違いは、上図で強調している部分「速効性」なんですね。

実は、ノミダニを寄せ付けないようにする薬はありません。

体にノミやダニがくっついてきて、薬が作用して死んで落ちるまでの時間が速くないと刺されてしまう危険性が高くなります。

 

同じメーカーのノミダニ予防の製品『フロントラインプラス」との比較では、フロントラインがノミを駆除するのに24時間かかるのに対し、ネクスガードは6時間で落とします。

また、マダニに対してもフロントラインは48時間かかるんですが、ネクスガードは半分の24時間で駆除することが証明されてます。

しかも、その効果が1ヶ月持続するので、毎月飲ませることできちんとノミダニの予防ができるというわけです。

(クレデリオプラスも、6時間でノミの99%以上を、8時間でマダニの99%以上を駆除することが試験で分かっています。)

そういったところを考えると、ノミダニ予防薬は、速く落ちる「飲み薬タイプ」のものをぜひ選んでいただきたいですね!

 

 

また、クレデリオプラスは上の写真のようにビーフの香りがついた錠剤タイプとなっております。

そのまま食べる子も多いですし、フードに入れておくとだいたい食べるわけなんですが、たまに警戒心の強いワンちゃんいますよね。

そういう子には、砕いて粉末にして好きなものに混ぜることもできるわけですね。

 

というわけで今回のブログでは、最近のフィラリア予防薬の解説をしてみました。

そろそろ本格的なフィラリア予防シーズンに突入しましたので、ぜひ当院にお越しくださいね。

食物&環境アレルゲン対応フード『オールスキンバリア』新登場!

2022年04月11日 (月)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

ヒルズさんから期待の新製品『オールスキンバリア』が登場しましたので、そのご紹介をしたいと思います。

 

これまで、食物アレルギーのフードとしてたくさんの製品を各メーカーが作って販売してきました。

食物アレルギーの話は、以前のブログで書きましたが、何らかのタンパク質に対してアレルギー反応があるワンちゃんがその食べ物にヒットしにくいように、原材料を選んだり加工を行ったのが食物アレルギー用フードです。

一方で、ヒルズは『ダームディフェンス』という環境アレルギー(いわゆるアトピー性皮膚炎)をフードで改善するための製品も販売してきました。

そのヒルズさん曰く、このフードは「アレルギー・皮膚ケアの歴史が変わる。新世代フード、誕生!」だそうです(^_^;

皮膚用製品の最高傑作が完成したような雰囲気ですね。。。

 

その期待の新製品の特長はと申しますと、環境アレルギーと食物アレルギーを両方対応可能なフードが登場!ということでしょう。

 

 

①食物アレルギーに対して

ワンちゃんのアレルギーの原因食物としては、かなり少ない(ヒルズ調べでは食物アレルギーのうちの4%)と言われている「」を唯一のタンパク源として使用してます。(アレルゲンとしては、も使われております)

そのため、食物アレルギーの犬に対してかゆみの原因物質を食べてしまうリスクがとても低いフードになっているそうです。

人では卵は食物アレルギーの原因としてとても有名ですので、意外なタンパク源でした。

こういったフードが普及することで、これまでワンちゃんでアレルギーになることが少なかった卵のアレルギーが増えて行かないかも注目してますが。。。

 

②アトピー性皮膚炎(環境アレルゲン)に対して

ヒルズ独自の「ヒスタガード」という技術(栄養成分のブレンド)により、環境アレルゲンが侵入する皮膚表面のバリア機能を改善する効果があるとのこと。

 

 

その両方を改善する可能性が高いため、例えばまだ何のアレルギーかハッキリしていないようなケースだったり、色々と治療をしているけどなかなか良くならないケースなどに使ってみる価値があると言えますね。

 

 

①②③の3つの働きで皮膚を健康に保ちます!

きちんとデータがあるのも良いですね♪

 

先日、新発売のヒルズのシンポジウムがありましたが、トライアルで使用した皮膚科専門医の先生にとってもとても優れた製品だったとのこと。

これまで何のフードでも改善しなかった犬で改善したケースがあったよ~とか、今まで痒み止めである程度管理できてた子がさらにかゆみがグーンと減ったんだよとか。。。

皮膚科専門医の先生たちにとっても、皮膚がかゆい!と来たワンちゃんへのファーストチョイス(最初にご提案するフード)になっているとの話でした。

 

ヒルズ製品としては、『腸内バイオーム』に次ぐ期待の製品となりそうな予感です!

ただし、唯一のネックは他のフードと比べて料金がちょっと高いんですよね…

食べてくれるかどうかのお試しの小袋サンプルもありませんので、いきなり1.35kgの1袋を購入していただかないといけないのもありまして…

 

もし食べなかったら、ゆで卵を混ぜてあげたら良いよ~という話もシンポジウムではありましたから、皮膚病が治らなくて本当に困ってらっしゃる方でぜひ使ってみたい!という方は1.35kgを購入いただいて試してもらう価値はあると思います!

もしこのブログを読んで興味を持たれた方はお声かけ下さいね!

サイトポイントの注射でこんなにフサフサに!

2021年04月03日 (土)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

4月になりましたね。狂犬病予防も令和3年度分の注射が始まりました。

フィラリア予防も開始しておりますので、お時間ある時にお越しくださいね!

 

さて、以前のブログで、アトピー性皮膚炎のまったく新しい注射薬『サイトポイント』のご紹介をしておりました。

動物で初めて抗体医薬という薬が承認されたのはとてもインパクトのあるニュースでしたが、今回はその注射薬の治療で劇的に皮膚病が改善したワンちゃんをご紹介します。

 

柴犬のこたろうくん、8才の男の子です。

トリミングショップで耳の異常を指摘されたとのことで来院されました。

 

耳はもちろんなんですが、個人的には皮膚の脱毛がとても気になりました…

前足や太ももなど、あちこち自分でむしってしまって毛が薄くなってました。

 

お腹も赤くかゆそうで、ところどころ色素沈着(黒ずみ)が出てました。

 

かゆそうですね〜。

飼い主さんのお話では、しょっちゅうかゆくて自分でかんでいるそうです。

 

こういう場合、まず寄生虫や感染症などの病気を除外します。

そして次に考えるのは、食べ物が原因の「食物アレルギー」ではないか…ということですね。

食物アレルギーについてはコチラの過去ブログをご覧ください。

 

こたろうくんは、かゆみ・病変の発現部位や、過去に食物アレルギー用のフードなどをトライして効果がなかったなどの総合的評価から、ハウスダストなどの環境アレルゲンによる「アトピー性皮膚炎」の可能性が高いと判断しました。

 

アトピー性皮膚炎の治療にはいろんな薬があるわけですが、アポキル錠というアトピー性皮膚炎の薬を飲むと効果があること、そしてこたろうくんは薬を飲むのが大キライなことから、月1回の注射でかゆみを抑えるサイトポイントをご提案しました。

 

「初回」・「1か月後」と2回の注射を行って、3回目の注射でお越しになった際の写真がコチラです↓

治療開始2か月後の写真です!

 

とても毛の薄かった脇腹、ふとももや後ろ足がフサフサに生え揃いました!

飼い主さんのお話だと、初回の注射をしてすぐからほとんどかゆがらなくなったとのことでしたので、すごく効果を実感できたケースでした。

 

 

お腹の方はというと、赤みも引いてますし、黒ずみ(色素沈着)も少しずつ薄くなってきました。

他の薬は使わずに、月1回の注射だけでこれだけ劇的に良くなったんですね〜

毛が生え揃って、柴ちゃんらしいモフモフ感が戻って私も嬉しかったです♪

 

先日、4回目の注射にお越しになった際には、さらに毛量がアップしてお腹の色素沈着もほとんど改善しておりました。

今回は実は、前回の注射から2ヶ月間空いてたのですが、まったくかゆみはなかったそうです。

海外のケースでは、効果が出てくると間隔を空けてもコントロールできるケースがあると報告されてますが、こたろうくんも体重が6kgのワンちゃんですから10kg用の注射で抗体が2ヶ月くらいは持続してくれそうです。

さらに間隔を空けていけると良いですね♪

 

すべてのワンちゃんが適応になるわけではありませんが、気になった方はぜひ一度ご相談くださいね!

治療後の写真です。かゆみから開放されてとても明るい表情のこたろうくんでした♪

『筋トレわんわん』プレゼント中です!

2021年01月17日 (日)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

ついに福岡県に2度目の緊急事態宣言が出てしまいましたね。。。

オークどうぶつ病院では、以前の緊急事態宣言の時と同様、院内消毒に気を遣い診療を行っております。マスクの着用、なるべく少人数でのご来院、混み合っている際は外や車内で待っていただくなどの対応をお願いすることがあるかもしれません。

どうぞご協力をよろしくお願い致します。

 

コロナで巣ごもり生活の際に話題になったのが、自宅でじっとしていることによる筋肉の衰えや虚弱などです。老化による種々の機能低下をフレイルと呼んだり、また、高齢期における筋肉の減少はサルコペニアと呼ばれます。

最近こういった用語を耳にしたことがあるかもしれませんが、これらは、転んで骨折をしやすくなったり、要介護生活につながる体の良くない変化なのです。

 

実はワンちゃんでも同じことが起こります。ホームページのリニューアルの際に私が新しく書いた記事に、『老犬の筋肉の衰え』のコーナーがあります。ご興味がある方は今一度読んでみてください。

やはりワンちゃんでも年齢とともに衰えていくのが筋力です。筋力低下はまず後ろ足のふらつきから始まり、そこで何も手を打たなかったり、可愛がり過ぎて安静に過ごしてしまうと、どんどん衰えて寝たきりになってしまうのです。

ですから、筋力が低下しないように介護用ハーネスをつけてお散歩をしたり、そのページに記載しているような簡単な筋力トレーニングがオススメです。

 

その際に、筋力トレーニングやりつつも、なるべく効率的に筋肉をつけたい、あるいは筋力低下を防ぎたいということでオススメのサプリメントがあります。

前置きがとても長くなってしまいましたが、それがこの『筋トレわんわん』というおやつタイプのサプリメントです。

ネーミングからして、うちの子を筋肉ムキムキな犬にしたい!というイメージを抱かれるかもしれませんが、そうではなく、老犬の毎日の筋力トレーニングのご褒美として与えてもらうのにオススメできる製品です。

プレゼントキャンペーン実施中!!

 

主成分は、筋肉維持に必要なロイシンというアミノ酸から体内で作られる物質「HMB」という成分です。

これを補給することで、筋肉を作る手助けと筋肉が衰えるのを防ぐ効果があることがヒトの研究で証明されています。

 

また、その他の成分として、以下のような成分も配合されていますし、鹿肉やホワイトソルガムという穀物が原料で出来ていますので、アレルギーを持っているワンちゃんでも安心して与えることができるおやつです。

 

もしご興味を持たれた方は、オークどうぶつ病院けやき・スタッフか前谷までお声かけください。

賞味期限が短い製品を少し頂きましたので…

ご希望の方には、製品を1袋プレゼントします!

 

このブログを読んで試してみたい!と思われた方は、早い者勝ちですのでぜひお声かけくださいね!

 

口の中の珍しい病気「歯原性のう胞」へのレーザーの応用

2020年11月20日 (金)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

前回のブログでは、口の中のガンに対してレーザー手術器を使用したケースレポートをご紹介させていただきましたね。

早速ブログを見て来られて、治療を開始したワンちゃんもおりますが、あくまで根本治療ではなく少しでもQOLを改善したいという思いで行っている治療であることを再度お伝えしておきます。

今回は、同じく口の中にレーザー手術器を使用した珍しい病気の治療編をお送りします。

 

先日偶然に口の中にしこりを見つけたチワワの大吉ちゃんです。

いつも何をするにも嫌がったり怒ったりせず、目が合うと必ずしっぽを振ってくれる明るいワンちゃんです!

上の前歯の位置にやや黒っぽく見えるしこりがありました。

写真は麻酔下にてフラッシュ撮影しておりますので明るく見えますが、実際は黒ずんだしこりのように見えました。

 

麻酔をかけて精査したところ、透き通って見えますので液体が貯まっているのかなと細い針を指すと透明な液体が抜けてぺちゃんこになりました。

 

液体がたまっているということは「のう胞」といって袋の中に水がたまる構造の病変のようです。

そのままにしておくとまた水がたまって膨らんできますので、一部外側ののう胞壁を切り取りました。

 

さて、どう治療しましょうかね。。。

おそらく内側には水分を分泌する細胞があり、表面の穴がそのままふさがるとまた同じように水ぶくれが再発しそうです。

そこで、内側を裏打ちしている内膜をレーザーで蒸散・凝固してみました。

うまく行けば分泌細胞が死んで水分の分泌が止まり、組織が再生すればきれいに治るかなーと考えました。

中は大きな空洞となっており、その中にレーザー器具を入れてあちこちくまなくレーザー凝固しました。

 

ちょっと痛々しい写真ですよね。

術後はしばらく口元を触るとちょっと怒ってましたが、ご飯はしっかり食べて元気に過ごせましたよ。

3週間後に再診に来ていただいた時にはいつもの優しい大吉ちゃんに戻って、口の中もあんぐりとじっと観察させてくれるようになりましたね。

その時の写真がコチラです↓

 

とてもきれいに治りました。

念のため悪いものじゃないかどうか調べるため、切り取った外側の膜を病理検査に送ってました。

悪いものじゃなくて一安心♪ きれいに治りましたのでこれで治療終了です!

 

歯根膜などから発生する歯原性のう胞は、人ではたまにあるケースですが、犬では非常にまれな病気です。

治療としては、のう胞を袋ごと摘出するのがセオリーなわけですが、後々調べてみると、過去には今回の治療と同様にレーザー蒸散した報告もあるようですね。

何年やってても見たことないような病気や症状は来るもので。。。本当に毎日が勉強ですねぇ…

 

口の中のガン(口腔内腫瘍)へのレーザー治療

2020年11月12日 (木)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

今回のブログは、ワンちゃんの口の中にできる悪性腫瘍(ガン)に対して、レーザー手術器を使用したお話をしたいと思います。

 

口の中にできるガンは比較的多く、いずれも局所浸潤(その場で奥に奥に広がっていく性格)が強いです。

最も悪い性格の悪性黒色腫(メラノーマ)は肺などに遠隔転移をすることもありますが、扁平上皮癌や線維肉腫といったタイプの腫瘍は、転移をしにくい代わりにジワジワと口の奥の深部に広がっていきます。

こういった口の中のガンに共通するのは、最終的には口の中の痛みや出血がひどくなり、お腹は空くのにご飯が食べれなくてどんどん衰弱していく…というとても残酷な病気なのです。

 

古くから現在に至るまで、口の中のガンに対しては「①顎の骨ごと大きく切除する」+「②術後に放射線治療を行う」or「③術後に抗がん剤を投与する」というのがセオリーです。

しかし、高齢なので大きな侵襲を伴う手術や毎回麻酔をかける放射線治療が現実的に難しい場合、あるいは体力的に術後のダメージが心配で…と飼い主さんが積極的な手術や放射線治療を希望されない場合がとても多いと感じます。

 

口の中にしこりができた場合は、まずどんなタイプの腫瘍なのかを調べるために、一部切り取って病理検査に出す必要性があります。

その際に私は、口の中にも以前のブログでご紹介したイボ取りと同様の蒸散・凝固処置を行っています。

(口の中はイボ取りとは違って全身麻酔が必要となりますが。。。)

 

すぐにまた大きく増殖してしまう場合も多いのですが、不思議とその後再発しないケースなんかもあったりするので、レーザー蒸散をすることの一定のメリットは感じております。

 

こんな子もいました。

口の中に『悪性黒色腫(メラノーマ)』ができたワンちゃんです。

左の上顎、犬歯〜奥歯にかけて黒いしこりで覆われています。

 

組織を取って病理検査に出して、良性か悪性かを調べます。

そのために全身麻酔をかけて切除を行い、その切った歯茎の部分にレーザーで蒸散・凝固処置を丁寧に行いました。

処置後の写真です。腫瘍があった場所が広範囲に炭化しています(焦げたようになっています)。

腫瘍を摘出後、残った粘膜を丁寧にレーザー凝固しました。 先程の写真では見えなかった犬歯や前歯、奥歯が見えるようになっています。

 

ちょっと痛々しく見えるかもしれませんが、処置後のワンちゃんは意外にも痛みはさほどでもなく、スムーズに食事を摂れることが多いです。そこは、レーザーによる鎮痛作用のお陰なのかもしれません。

 

その処置から7ヶ月経過後の、同じワンちゃんの口の中の写真がコチラです。

ホントかな?と思うかもしれませんが、正真正銘同じワンちゃんの処置後7ヶ月後の写真です。

 

ウソのようにどこにも腫瘍らしきものが見当たりません。。。

この子は、処置後に抗がん剤やその他の薬やサプリなども一切処方してないのに!です。

本当に悪性腫瘍なの??と疑われそうですから、病理検査の結果も載せておきます。

 

たまにこういったケースがあるからレーザーは良いなと思います。

もちろんメラノーマという腫瘍は、ものすごく増殖が早いものが多く、見つかった時点ですごく大きくなってしまっているような場合もあります。

そういった場合は、いくらレーザーで処置したからといってもすぐに再発してあっという間に増大してしまうことが多いのも事実です。

メラノーマにはすごく大人しいタイプのものも混ざってるのかな…という印象を抱くことがありますので、たまたまそういったタイプの初期病変であればこのように上手くいくのかもしれません。。。

もしかしたら、ガン細胞の親分である「がん幹細胞」にダメージを与えられたのかな?

あるいは、ガン細胞を壊すことにより、周りの免疫細胞にこんなやつがいるぞ!とお知らせをして、やっつけろ!とガン免疫細胞を活性化することが出来たのか…

うまくいった子の体内でどういったことが起きたのかは分かりませんが、たまにこういうケースもあるんです。

 

他の口の中の腫瘍の場合でも、大きく喉に増殖して気道を塞いでしまい、息苦しさを感じていたワンちゃんにも何度かレーザーで切除後に蒸散・凝固処置をしたケースがあるのですが、数回処置を行った後に大きくなるスピードが落ち、しばらくいい状態をキープできた子なんかもいました。

 

積極的に完治を目指すことが叶わないとなっても、本人のQOLを少しでも改善できるように役立ってくれると良いなと日々色々と考えながら治療を行っております。

今日のブログは長く難しくなってしまいましたが、気になった方は診察時にでもお尋ねくださいね!

 

アレルギーのワンちゃんにもおやつを!『ペティッツ カンガルーチップ』

2020年07月18日 (土)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

先日は、犬の食物アレルギーのお話をしました。

何かの食べ物(タンパク質や炭水化物)にアレルギーがある場合、主食で食べているものはもちろんですが、色々とおやつを与えてしまうと、もう何が反応して痒みが出たのかわけが分からなくなってしまいます。。。

ですから、できるだけ食生活はシンプルにしたいですね。

 

そこで、以前にも当ブログでご紹介したことがあるのですが、ペティッツシリーズというおやつがオススメです!

(ペティッツソフトトリーツのご紹介は以前のブログ記事をお読みください!)

 

 

今回はその新しいシリーズとなる『ペティッツ カンガルーチップ』をご紹介します!

 

ペティッツトリーツも非常にオススメなのですが、ワンちゃんは祖先をたどればオオカミなんですねぇ。。。

やはり心の底では、お肉をガジガジ食べたい欲求がきっとあるはず!!!そんな欲求を満たしてくれる製品がコチラです!

 

その名の通り、カンガルー肉を原材料に作っているジャーキーですね。

カンガルー肉は、ワンちゃんが普段口にすることが少なく、動物種としても他の動物種とかけ離れた品種ですから、食物アレルギーとして反応する可能性は限りなく低いと考えられています。

ということから、アレルギー持ちのワンちゃんでもお肉のおやつを食べたい!という欲求を満たしてあげられる製品になります。

 

 

ペティッツシリーズには2種類の製品があって、「低アレルゲン」と「ミネラルコントロール」があります。

実はどちらのシリーズも、犬の主要アレルゲン35品目を使用していないので、アレルギー持ちのワンちゃんにも安心して与えることができます。

 

 

さらに「ミネラルコントロール」シリーズは、塩分ナトリウムやリン、マグネシウム、カルシウムといったミネラル分を抑えて製造されているため、高齢で心臓や腎臓疾患を持っているワンちゃんや、尿路結石用フードを与えている子にも与えることができるんですね。

 

 

お薬を与えるおやつはこれまでに他社製品もいくつかご紹介しましたが、ペティッツシリーズにもあります。

 

こちらは、自由に形を変えることができますので、お薬を包んでお団子にしてワンちゃんに与えることができるんですね。

 

色んなシリーズを用意しておりますので、その子にあったおやつを選んでくださいね!

ワクチンや診察を頑張ったごほうび用に、その名も「ごほうびペティッツ」というお試しソフトトリーツも受付に置いております。

お注射頑張ったごほうびにどうぞお試しください!

かゆい!!その痒みは食べ物が原因では?

2020年06月15日 (月)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

本日よりヒルズの療法食が値上がりとなりますのでご了承ください。

 

気温が上がり、この時期からだんだんと増えてくるのが皮膚と耳の病気です。

それはなぜかというと、単純に気温や湿度が上がって皮膚や耳道内の環境が悪化することもありますが、5月頃からアトピー性皮膚炎の原因となるハウスダストマイトが増える時期だからなんです。

しかし最近は、一年中あちこち体中をかいてるワンちゃんもたくさんお見かけするようになった気がしますが、こういったケースでは食事の影響も考えないといけません。

 

犬のアレルギー性皮膚炎には大きく分けて2つのタイプがあります。(ノミなどの特殊なアレルギーを除く)

1.環境アレルゲンに対するアトピー性皮膚炎(原因はハウスダストの中にいる小さなダニ、カビや花粉など)

2.食物の中のタンパク質に反応する食物アレルギー(原因はお肉や小麦などの食事中のタンパク質)

 

今回ブログで取り上げようと思ったのは、食べ物の何かの成分に反応してかゆみが出てしまう食物アレルギーについてです。

これは診断が難しく、なかなかこれまでもビシッと診断ができてなかったことが多いように感じてます。

アレルギー検査でズバッと診断できるものでもなく、また除去食というアレルギーを起こさない食事の選択が難しいからだと思いますが。。。

愛犬のかゆみでお困りの方などにはぜひ読んでいただければと思います。

 

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の症状の違い

症状だけでは区別は難しいというのをまず前提にして書きますが、実はアトピー性皮膚炎と食物アレルギーでの病変部についていくつか新しい知見が得られています。

 

動物アレルギー検査株式会社さまの資料よりお借りしました。

 

上図は、動物のアレルギー検査専門機関として、最新のアレルギー検査を提供してくださっている「アレルギー検査株式会社」の資料よりお借りした図です。

アトピー性皮膚炎も食物アレルギーも、赤色で図示された「わきや内股、耳や足先」などの部分にかゆみが出るのは共通なのですが、緑色で図示された「背中や肛門周囲、目や口唇(くちびる)」は食物アレルギーに特徴的な部位と言われています。

 

アレルギー検査株式会社さまの資料よりお借りしました。

 

もちろん例外はあって、ウエスティでは背中の皮膚病変がアトピーでも出やすいなどの報告もありますので、一概にすべてに当てはまるわけではありませんが、上図のように目や唇、背中や肛門周囲、足先に強いかゆみや脱毛がある場合、食物の関与も疑って、副食として与えているおやつや人間の食べ物などをまずやめてみてください。

実際に私のみた患者さんでも、ついついごほうびに与えてたパンをやめたらすごく皮膚が良くなった、大好きだったおやつをやめただけでずっと悩まされていた皮膚病が出なくなったというワンちゃんもいますので、まず色々と食べさせているものを最小限にしてみてください。

 

こんなときは食物アレルギーを疑いましょう

食物アレルギーを持っているワンちゃんには、次のような特徴があると言われています。

もし以下のような特徴があてはまるようであれば、うちの子は食物アレルギーがあるのかも…と疑ってみてください。

 

1.1歳未満の子犬時代から耳や足をかゆがってなかったか?

食物アレルギーのワンちゃんは、多くは1歳未満の若い時期から、外耳炎(耳が赤くなる)や肢端炎(手足をなめる)などの症状が出ていることが多いと言われています。

若いときにこのような症状がなかったかどうか、思い出してみてください。

アトピー性皮膚炎の子は、もう少し遅い時期(2歳以降)での発症が多いと言われています。

 

2.一年中(冬場でも)かゆがってないか?あるいは季節によってかゆみに違いがあるか?

アトピー性皮膚炎の子は、今の時期から夏の終わりまでの時期に皮膚のかゆみや皮膚病が悪化する傾向があります。

一方で食物アレルギーは食べ物に対して反応するわけですから、一年中(冬場の寒い時期でも)かゆみが続く傾向にあります。

 

3.背中や肛門周りなどをかいたりこすったりしてないか?

上で書いたように、アトピー性皮膚炎と病変が異なる部位として、食物アレルギーでは背中や肛門周りの病変が出る場合があります。

 

4.うんちの回数が多くないか?

食物アレルギーの子は、一日の排便回数が3回以上とたくさんうんちをする傾向があるとも言われています。

 

 

かゆみに悩まされていて、このような特徴にあてはまる場合は、一度当院にご相談に来てください。

その際は、今ワンちゃんが口にしている食べ物をすべてリストアップして教えていただけるとベストです!

フードならそのメーカー、名前もですが、大事なのはその原材料表示です。

 

フードの裏の「原材料表示」をもとに療法食を決めますので、この部分がわかるものをお持ちください。

 

おやつや人間の食べ物についても、ご家族の誰かがこっそり与えていないか?お散歩中に何かをもらってないか?詳細にお話をお伺いすることが第一歩となります。

アレルギー検査株式会社様のアレルギー検査(IgE測定&リンパ球反応試験)も、費用はかかりますが診断の一つのツールとなります。気になる方はご相談ください。

積極的に使用したいアレルギー用フードが一つ欠品となりまして。。。これには困りましたが…

てんかんと認知症用フード ピュリナ『ニューロケア』新発売!

2020年03月04日 (水)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

新型コロナウイルス感染症が大変な状況になってきましたね。

先日は、「犬でウイルス弱陽性反応が出た!」との報道もあり、ペットを飼っている皆さんも不安な日々をお過ごしでしょう。

日本獣医師会サイトでもアナウンスが出てますが、現状では、犬に付着したウイルスが反応した可能性が考えられており、ペットへの感染はないと考えられていますので、まずは人間が感染することを最大限防ぐ努力を徹底してください。

 

本日は、ピュリナから病院専用の「ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット」シリーズとして新発売のフードをご紹介します。

(厳密には、発売されて半年以上経ちますが、当院として発売の体制が整ったタイミングでのお知らせとなります。。。)

 

 

動物病院では色んなメーカーの、様々な病気の子用の療法食を取り扱っているのですが、今回ご紹介するのは、その中でも異色なフードですよ。

なんと!たくさんのワンちゃんがお困りの「てんかん」による発作症状を改善をするフードです。

と同時に、脳にとって良い成分がたくさん含まれたフードですので、お年寄りワンちゃんの「認知症(痴呆・ぼけ)」の改善効果もあることが証明されているフードです。

 

脳によいと言われる『中鎖脂肪酸』とは

近頃、健康ブームで注目されている「中鎖脂肪酸:MCT(Medium Chain Triglyceride)」という成分をご存知でしょうか?

中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルや母乳にも含まれる天然成分で、MCTオイルとして各社から販売されています。

一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸と違い、体の中で素早く吸収・分解され、すぐにエネルギーとして利用される脂肪酸です。

ですから、スポーツをする方の素早いエネルギー補給目的や、余分な体脂肪として蓄積しないことから、ダイエット効果も期待されている注目の成分なんです。

 

しかし、ここ最近でもっとも注目されている効果が「脳機能を改善する効果」なのです。

人間のアルツハイマー病という認知症患者さんでは、脳細胞がエネルギーとしてブドウ糖を利用できず、エネルギー不足に陥ってしまうことが明らかになってきました。

その際に、中鎖脂肪酸を摂ることで素早くケトン体という物質に変わり、ブドウ糖が利用できない代わりに脳のエネルギー源として利用されるのです。

アルツハイマー病の患者さんで、認知機能の改善効果や記憶力低下を予防する効果が明確に証明されています。

 

また、人間のてんかんの患者さんに「ケトン食療法」という食事療法があり、ケトンを毎日摂取することでてんかんの頻度が減る効果が期待されています。そのため、中鎖脂肪酸を毎日摂取することで効果的にケトン体を体内に入れ、てんかん予防効果を発揮できるのかもしれません。

中鎖脂肪酸自体がてんかんを引き起こす脳のグルタミン酸受容体を抑えててんかんを抑制するとも考えられています。

 

 

 

てんかんに対する『ニューロケア』の効果

ピュリナの臨床研究で、てんかん持ちのワンちゃんに対して効果があるかの試験が行われました。その結果、

71%の犬で発作の頻度が減少したそうです。

約半数の犬が発作回数が半分以下になり、14%の犬では発作が起こらなくなったということですから、21頭という少数のデータながらも、てんかん発作のワンちゃんを飼っている方のお役に立てる商品になり得るのではないかと期待しております。

 

 

 

認知症に対する『ニューロケア』の効果

認知症のワンちゃんに対する研究も行われ、3ヶ月間の給与で認知症症状の改善も示唆されたそうです。

もともとワンちゃんの認知症には「EPA&DHA」が効果があると言われており、認知症用にEPA&DHAを含有したサプリメントも販売されております。

さらに、脳によいとされるアルギニンやビタミンBも強化されているので、脳の健康を保つ上で最上級の製品と言えます。

 

 

 

どうやったら買えるの?

これを読んで『ニューロケア』を購入したいと思われた方もたくさんいらっしゃるかと思います。

このピュリナの動物病院専売商品シリーズは、通常のインターネット販売では購入できない仕組みになっております。

購入したい方はまず動物病院にお問い合わせいただき、動物病院側が患者さん情報を登録して処方します。

(患者さん情報を登録してピュリナから案内が届くように、スマートフォンをお持ちの方は電話番号を、お持ちでない方はメールアドレスを教えていただく必要があります。)

 

届いたショートメールやE-mailから手続きを行えば、専用サイトからご自身の購入したいタイミングでいつでも購入できるようになります。

品物もご自宅に宅配で届きますので、動物病院に在庫を確認して取りに行く必要はありません。

 

糖尿病を併発しているワンちゃんへは与えない方が良いと思われますが、てんかんや認知症でお困りのワンちゃんの飼い主さんにはぜひ使っていただきたいと思います。

フードサンプルの小袋もご用意できますので、ぜひ一度お問い合わせくださいね!