病理解剖検査の大切さ

2014年01月25日 (土)

 いろいろな検査をしても原因がわからず、亡くなってしまう仔がいます。

 血液検査や、レントゲン検査、超音波検査をしてもわからない病気があります。飼主の経済的理由で踏み込んだ検査ができない、そこまでの検査はいらないというケースもあります。ヤブ医者ならぬヤブ獣医者であるのも自覚しております。

 そういう場合は亡くなった後に解剖をすることで、病気の原因がわかります。

 今回、皮膚病であごの下が汚れてきて、脱毛をおこすという5歳の猫が来院しました。

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 それが次第に目の周り、肉球周辺、体幹も脱毛し、発赤、かゆみが出てきました。

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 抗生剤や、抗炎症剤を処方すると発赤やかゆみは止まります。薬の投与前には血液検査、レントゲン検査、超音波検査を実施しましたが、ハッキリとは原因がわかりません。 

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 7~14日ごとに再診療していても体重がどんどん減少していきます。とうとう3ヶ月弱で亡くなってしまい、泣きながらお電話を頂きました。

 その時にお話しにくいのですが、もし今後同様な仔が来たら治療や検査の方法、治療の仕方がわかるかもしれないので解剖させてほしいとということを伝えました。

 オーナーは快く了解して頂き病理解剖を実施しました。

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剖検の結果は・・・肝臓に腫瘤多数。力不足を痛感しました。

 病理解剖組織学的検査診断

肝臓:神経内分泌腫瘍(肝原発カルチノイドか副腎等からの転移) 肺:転移性病変 皮膚:毛包萎縮(副腫瘍症候群) 膵:慢性膵炎

 今回の検査から学んだこと、得たこと

 ①腫瘍と皮膚病に関連(?)も今後の類症鑑別にいれる

 ②5歳というの年齢でも腫瘍になることを飼主に実例とともに説明ができる

 ③初回のたった1回の血液、レントゲン、超音波検査の限界

 ④体調悪いなら、毎日、毎週、毎月にでも血液検査、レントゲン検査、超音波検査を勧める

 ⑤目で見えている病気だけにとらわれない。

 この事をひとつの病院、一人の獣医師の経験とせず、スタッフにも共有し、地力をつけて参ります。

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