オークどうぶつ病院けやき 前谷です。
最近、なぜだか両院ともにハムスターの患者さんがすごく増えましたね。
私も一人のハムスター飼いとしては嬉しいのですが、やはり可能な検査や治療が限られるので難しさを感じる毎日です。
なかなか犬猫のように満足のいく診断・治療が出来ないことも多いのですが、それでも出来ることを少しずつ増やそうと尽力しております。
小さな動物ですから、手術となるとなかなか難しいのですが、先日レーザー手術器が非常に役に立ったケースをご紹介します。
ハムスターには頬袋という袋が左右にあって、いっぱい食べ物を詰め込みます。
その頬袋が時々ひっくり返って出て来てしまうことがあります。
『頬袋脱(ほおぶくろだつ)』というその病気ですが、原因は感染(膿瘍)だったり腫瘍だったり…これといった原因もなくただ反転してしまうこともあるんです。。。
今回のケースは左の頬袋が飛び出していたジャンガリアンの「メメちゃん」です。
脱出した頬袋の先端を触ると、1cmくらいのしこりが出来てました。
とりあえず一度口の中に戻してみたのですが、左のほっぺを必死にかいていて違和感が強そうです。
頬袋脱はいかなる原因であれ、手術で切除するのがベストと考えられています。
飼い主さんが手術をご希望されましたので、ガス麻酔をかけます。
麻酔が効いた状態で、左頬袋をもう1回外に反転させました。その頬袋の先端部分に硬いしこりができておりました。
口の中の組織は、切ると出血が多い場所です。
ハムスターのような小さな体の動物にとって、わずかな出血も命取りになる危険性があります。
そこで今回切除に使ったのが半導体レーザーの「レーザーメス」です。
ワンちゃんの口の中の腫瘍切除に使用した例は過去ブログでご紹介してましたが、出血とダメージの少なさには定評があります。
レーザーメスで切除をすると、出血はほぼありませんでした。
そして術後の熱によるダメージや痛みなどもあまりなく、動物への負担が少ない手術が可能となります。
飛び出した頬袋を全周切除が終わった摘出直後の写真です(↓)
※小さな写真で掲載してますので、拡大して見たい方は画像をクリックしてください。
写真では、口の周りに血液がついてますが、これはピンセットでつまんだところから出血したものです。
切りっぱなしの状態ですが、切除したところからは全く血は出ませんでした。
溶ける糸で口の中を数か所縫合し、手術は無事に終了しました。
麻酔もすぐに醒めて、術後短時間で元気にお家に帰りました。
2週間後に様子を見せに来てくれたんですが、とても元気で頬袋の縫った場所もきれいに治ってました。
飼い主さんの話では、帰宅後すぐにご飯も食べれてとても元気に過ごせたとのこと。
レ―ザーの良いところは、出血なく切除できてしかもダメージが少ないことですね。
病理検査の結果は『毛芽腫』という良性腫瘍でしたので、今回の切除で無事治療完了です!
元気な姿を見せにきていただきありがとうございました!元気そうでホッとしました(^_^)