爬虫類の寄生虫

2024年06月25日 (火)

オークどうぶつ病院 加藤です。

 

爬虫類のお腹の症状についてよく相談を頂きます。

便秘、嘔吐、食欲不振 etc…

その中でも手を焼くのが下痢の症状です。

 

うんちを調べて診ると、こんなのとか

 

こんなのがいます

 

どちらも寄生虫ですね…

 

爬虫類で難しいのが、これがいたからといって必ずしも病気とは限らないところなんです。

 

爬虫類と寄生虫は共生していて腸内環境の一員と考えられています。ですので症状がなければオーナー様と話し合いをして駆虫しないこともあります。

病原性のある寄生虫がいたり、下痢をしているようなら治療介入することが多いです。

 

駆虫を行った子のケースを紹介します。

一年前にお家にお迎えしたアオジタトカゲちゃんで、お家に来た時から下痢が続いているとの事でした。

うんちを調べてみると…

とんでもない数の寄生虫がいました。これは駆虫しなくてはいけませんね。

駆虫薬を飲ませてもらって、もう一度うんち検査をしてみました。

 

 

かなり数が減ったことがわかると思います。食欲も増したとの事でした。まだ下痢は続いているとの事だったので、もう少しだけ駆虫薬を続けてもらう事にしました。

爬虫類の寄生虫は駆虫しきれないことも多いので、その子の状態を診ながら治療を継続するかどうか判断します。

 

この子の便では発見されませんでしたが、爬虫類と一緒に暮らしている方に注意していただきたいのが「クリプトスポリジウム」という寄生虫です。水やうんちを介して感染する寄生虫で下痢嘔吐削痩食欲不振などを引き起こします。ひどい子ではお腹に水が溜まってしまったり、死んでしまうことも…

症状が出ない子もいますが、お迎えしている方が多いヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)等では調子を崩すことも多いです。完治は困難な上、お薬はありますが、完全駆虫できるものではなく、あくまで数を減らすものしかありません。ですので症状がひどくなる前の早期介入が大事になってきます。

クリプトスポリジウムは非常に小さい寄生虫ですので一度の便検査で見つからなくても、症状が怪しい子は何度か便検査をすることをお勧めします。

 

新しく爬虫類を家族に迎えた方は一度便検査をしてはいかがでしょうか。