猫の甲状腺機能亢進症について

高齢猫で気をつける病気として、甲状腺機能亢進症があります。甲状腺機能亢進症は、のどの下にある甲状腺という臓器から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病態を言います。1979年に最初に見つかって以来、近年、特に日本での発生が増えている病気です。

 

高齢の猫にとても多い病気です。日本のいくつかの調査で、10歳以上の猫の約8%が甲状腺機能亢進症だったという報告があります。キャットフードの普及とともに増えており、フードの中の内分泌かく乱物質やヨウ素の含有量、環境中の化学物質など、様々なものが原因かと疑われていますが、ハッキリとした原因は特定できていません。

 

甲状腺機能亢進症は、高齢猫の割には元気があり活発で、食欲も増えることが多い病気ですので、あまり病気として認識されないことが多いです。甲状腺ホルモンは全身のあらゆる臓器に作用し、その代謝を活発にするホルモンですので、進行すると全身の筋肉や体力を消耗する病気ですし、二次的に心筋症(心臓の筋肉が肥大してしまう)を発症すると命に関わります。なるべく早い段階で発見し、治療を開始していくためにも、以下のような症状がある場合は、なるべく早く病院にお越し下さい。

 

 

・ 年の割にすごく活発だ。
・ 怒りっぽくなったり神経質になった。落ち着きがない。
・ よく鳴くようになった。
・ 食べるがやせてきた。
・ 食欲が落ちている。
・ よく吐いたり下痢するようになった。
・ 水をよく飲む。おしっこも多い。
・ 毛ヅヤが悪くなった。毛づくろいをあまりしなくなった。
・ 息遣いが荒くなった。