手術をすると発情出血がなくなり、女性ホルモンが原因で将来起こる可能性のある病気を予防できます。
メス犬の場合、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍など、高齢で具合いが悪い状態で大きな手術を受けなければならない病気が多いです。繁殖させる予定がなければ、若いうちに避妊手術を受けさせましょう。
避妊手術をするメリット・デメリット
メリットその１： 女性ホルモンが原因で起こる病気の予防
避妊手術を行うことで、以下のような病気の予防につながります。
| 子宮蓄膿症 (しきゅうちくのうしょう) |
子宮の中に雑菌が繁殖し、子宮の出口が閉じて内部でどんどん膿がたまる恐ろしい病気です。最終的には、大腸菌などの細菌がエンドトキシンという毒素を発生し、多臓器不全を起こして亡くなってしまいます。
治療は、原因である膿をためた子宮を摘出する避妊手術以外にはありません。同時に、点滴や抗生物質による治療を行っていきます。
海外には、内科治療で改善させる注射薬も販売されていますが、日本では未発売であり、一度乗り越えても、次の発情でまた子宮蓄膿症になってしまうことが多いので、やはり早期の手術が最善となります。
関連リンク目で見る病気：｢子宮蓄膿症｣ |
| 乳腺腫瘍 (にゅうせんしゅよう) |
乳腺（おっぱい）にしこりができる病気です。 犬の乳腺にできるしこりは、50%が良性の腺腫、残り50%が悪性の乳ガンと言われています。乳ガンであれば、近くのリンパ節や肺や骨などに転移をして最終的には亡くなってしまいます。 治療は、手術で乳腺のしこりを摘出して病理検査に出して、良性か悪性かを判定します。乳腺のしこりの場合、細胞診では良性・悪性の判断はつかないと言われますので、早期の摘出手術がベストです。 |
| 偽妊娠 (ぎにんしん) |
犬は、発情出血から約2 ヶ月間、黄体ホルモン（妊娠を支えるホルモン）が必ず分泌されます。そのため、乳腺が発達し、ミルクが出るようになる子もいます。多くの場合、発情が来る毎に偽妊娠を起こしてしまいます。
偽妊娠自体は病気ではありませんので、ほとんどの場合は自然と治まりますが、原因である黄体ホルモンは、乳腺のしこりや子宮蓄膿症を引き起こす原因ホルモンでもあります。 |
デメリットその１：体重増加・肥満の問題
デメリットは少ないですが、避妊手術後にコロンと太りやすくなる子が多いです。避妊手術後は、低カロリーの避妊手術後用のフードを与えることを推奨しています。病院でも取り扱ってますので、お気軽にお問い合わせください。
デメリットその２：尿失禁（尿もれ）の問題
卵巣を取ることでホルモンが変わり、術後しばらくトイレが近くなる（頻尿になる）子もいます。ある程度の年齢になって尿をもらしてしまうなどの問題が起きる場合もまれにあります。
避妊手術をする時期
メス犬では、避妊手術を行う時期が乳腺腫瘍の発生率に関連するという有名な報告があります。
生後6～8ヶ月齡ではじまる初回発情より前に避妊手術を行うと、乳腺腫瘍の発生予防効果は99%、初回発情から2回目の発情までの間で手術をすると93%、2回目の発情が来ると70%台まで低下すると言われています。
初回発情より前か、1回目が来て2回目の発情の間のどちらかで手術を行うことがオススメです。発情中は、子宮血管が太くなり出血のリスクが増えますので、発情が来た場合は延期して予定を組み直します。
手術の時期としては、生後6ヶ月以降であればいつでも可能です。
診察をした上で手術日程を予約していきますので、一度ご来院ください。
メス犬の避妊手術の料金
当院では、手術当日に必ず血液検査を行い、麻酔をかける上で大きな異常がないことを確認してから手術を行っております。手術後2泊3日は入院となります。
メス犬の避妊手術の基本料金（術前血液検査・麻酔費用・入院費用含む）は以下の通りです。
健康な若いワンちゃんの手術料金となっております。子宮蓄膿症の場合や高齢犬、肥満犬での手術などは、料金は変わって来ますのでご注意ください。
乳腺腫瘍と同時に手術を行うなどの追加手術がある場合、歯石除去を同時に行う場合なども、下記の料金に加えて追加料金がかかりますのでご了承下さい。
| 体重など | 入院 | 料金 |
| ～5kg | 2泊3日 | ¥37,000～ |
| 5～10kg | ¥40,000～ | |
| 10～20kg | ¥45,000～ | |
| 20～25kg | ¥50,000～ | |
| 25～30kg | ¥55,000～ | |
| 30～35kg | ¥60,000～ |
（料金は税抜き）
