日頃、たくさんの患者さんの診察を行っておりますが、健康診断をしておいて良かったなと思うケースは本当にたくさんあります。それとは逆に、進行した状態で診断して「もっと早い段階で健康診断をしていればなぁ・・」と思うこともあります。
犬や猫の腎臓病は、健康診断で早く見つかって良かったというケースは多いです。進行した腎臓病は、毎日点滴に通ってもらうことになり、費用面でも心身面でも飼い主さんには大きな負担がかかりますが、早い段階で診断できた慢性腎臓病は、腎臓病用の療法食への切り替えのみで元気に過ごせるのです。
慢性腎臓病の猫への皮下点滴(注射)
慢性腎臓病は治せる病気ではありませんので、いかに早い段階で診断して、早くから療法食を取り組めるかがカギとなります。そういう意味では、外注検査のSDMA(対称性ジメチルアルギニン)という検査は、従来の血液検査より犬では9.5ヶ月、猫では17ヶ月も早く腎臓病が診断可能と言われています。万能の検査ではありませんが、健康診断という意味では、とてもメリットが大きい検査です。
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腫瘍(ガン)の早期発見という意味では、画像検査(レントゲン検査・超音波検査)がとても大切になります。例えば、お腹の中の臓器に小さなしこりができていることが分かり、早い段階で手術で取って事なきを得たケースもあります。ヒトと同じように、ガンは犬猫でも死因ナンバーワンの病気です。小さな初期病変の段階で見つけて、早く治療を開始することが最も重要となります。
内視鏡検査で見つかった胃の腫瘍
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ヒトでも、進行するまで症状が出ないことから、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓ですが、犬や猫でも同様です。健康診断を受けて肝酵素が高く、さらに超音波検査を行うことで胆嚢の病気や、肝臓にしこりが見つかるケースもあります。
その他にも、血液中のタンパク質が異常に低いことから腸の病気の診断につながったケース、血中のコレステロールや中性脂肪が高かったことで甲状腺や副腎などの病気を疑えたケース、尿検査で尿タンパクがたくさん出ていることから、将来的に慢性腎臓病へとつながる腎臓の糸球体疾患を診断できたケースなど、挙げるときりがありません。
こうして見てきたように、健康診断にはたくさんのメリットがあります。健康な毎日のためにも、ぜひ健康診断を受けていただきたいと思います。