犬の混合ワクチンについて
混合ワクチンは、犬から犬へと感染する伝染病を予防するワクチンです。
ウイルスによる伝染病には、現在の発展した獣医学をもってしても、治療が難しく厄介な伝染病がいくつもあります。パルボウイルスやジステンパーウイルスは、仔犬が発症すると致死率がとても高い伝染病です。 レプトスピラ症は人にも感染する人獣共通感染症です。
これらの伝染病を予防するために、弱毒化した病原体やその病原体の一部を体に入れ込んで免疫細胞に記憶させておき、もしも病原体に出会った時にはしっかりと免疫細胞が対抗できるように準備をしておくというのが混合ワクチンを接種する目的となります。
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 料金 |
8種混合ワクチン | 犬ジステンパー 犬伝染性肝炎 犬アデノウイルス2型感染症 犬パラインフルエンザ 犬パルボウイルス感染症 犬コロナウイルス感染症 犬レプトスピラ(2株) |
¥9,000 (診察料込) |
5種混合ワクチン | 犬ジステンパー 犬伝染性肝炎 犬アデノウイルス2型感染症 犬パラインフルエンザ 犬パルボウイルス感染症 |
¥7,500 (診察料込) |
(料金は税抜き)
※ ワクチンの種類やメーカーは、時期によって、あるいは各病院で品揃えが異なることがあります。
はじめて子犬を飼われた場合、ワクチン接種は生後2 ヶ月目から開始して、4ヶ月目までに2~3回の接種を推奨しております。子犬はお母さんから母乳を通じて移行抗体という防御力を授かりますが、その効果が残る間はワクチンの効果も弱められてしまう可能性があり、それが切れた頃に接種するのが最もよいタイミングとなります。しかし、移行抗体が切れる時期は犬により様々なので、4ヶ月目(早くても3 ヶ月半を超えて)までの接種をすることでしっかり免疫力を上げてあげることが大切です。
最後のワクチンを打ってすぐにはまだ抵抗力が備わってませんので、最後のワクチンを打って10日~14日経ってから、お散歩やペットショップなどでのトリミングやホテルに連れて行くようにしてください。
しかし、この時期(生後3~5ヶ月の時期)は、子犬の社会化(社会性を身につける)にとってとても大切な時期でもあります。ワクチンが終わったら急いで、外に散歩に出かけて他の犬と会わせたり、お友達をご自宅に招いて触れ合ってもらうなどの経験を積むことも非常に大切です。
成犬、おとなのワンちゃんは、1年ごとのワクチン接種が必要となります。ご希望の方にはワクチンの時期におハガキをお送りしておりますので、お気軽にお申し付けください。
ワクチン接種後には、まれに望まれない副作用が起こることがあります。これらは、ワクチンに含まれているアジュバント(免疫を高めるために加えられる物質)に対して、体の中で好ましくない反応が起きてしまうことが原因と考えられています。
接種後数時間して、目の周りや鼻の周囲などが腫れてとても痒がる、皮膚にじんましんができる、何度も吐いてしまうなど症状は様々です。命に関わるアレルギー反応として、アナフィラキシーショック(歯茎が真っ白くなり急に動けなくなる急性症状)がまれに起こります。
アレルギー症状が出た場合に、病院が開いている時間を確保していただくため、ワクチン接種は午前中か午後の診察時間の早い時間に接種していただくことをオススメしています。
アナフィラキシーショックの多くは、接種後15分以内の早い段階で起こりますので、接種後15分は病院内で様子を見ていただき、帰宅後も安静にして接種後1日以内は、変わった様子がないかどうか様子を観察してください。ワクチン接種後は激しい運動やシャンプーは控えましょう。
ワクチンアレルギーを起こしたワンちゃんは、翌年以降のワクチンをどうするか獣医師に相談してください。義務付けられたものではなく任意のワクチンですので、打たないのも選択肢の一つです。しかし、ペットホテルやトリミングを利用したい、病気への備えが全くないのは心配など、打つ必要性がある場合も多いと思います。
ワクチンを打つ必要性がある場合や、打つメリットの方が大きい場合は、アレルギーの頻度が少ないと考えられている5種混合に変更したり、アレルギーを抑える注射を打ってからワクチン接種を行ったりすることもあります。しかし、それでもアレルギーが出る場合もありますので、しっかり話し合ってから決めていくことになります。