犬のフィラリア予防について

犬糸状虫(フィラリア)は、犬の心臓に寄生する寄生虫で、犬の心臓内(肺動脈や右心室)にそうめんのような虫が寄生します。心臓に寄生したフィラリア成虫は、ミクロフィラリアという子虫をたくさん産みますので、その血液を吸血した蚊が別の犬を吸血することにより、新たな犬へとフィラリアは拡がっていきます。

 

フィラリアが感染すると、心臓や肺血管のダメージがゆっくりと進行し、最終的には死に至ります。
まれに心臓内で虫が移動して、急激に命を奪う病態に変化することもあります。(大静脈症候群)

 

フィラリア感染症の治療は命がけとなりリスクを伴います。そのため、毎年しっかりフィラリア予防薬を忘れずに投薬し、フィラリア症にかからないようにしてあげることが大切になります。

 

1980年台以前はまだ今のようなフィラリア予防薬がなかったため、当時はフィラリアで亡くなるワンちゃんがたくさんいました。しかし、2015年にノーベル医学賞受賞の大村先生が開発したイベルメクチンという薬が登場して以来次々と新しい薬が開発され、近年ではフィラリアに感染したワンちゃんを見かける機会は少なくなってきています。

 

しかし、まだまだフィラリア症の犬は身近にいますので油断は禁物です。毎年春にはきちんと血液検査を行い、1ヶ月に1度のフィラリア予防薬を投与して、フィラリア症をしっかりと予防しましょう。

 

 

フィラリア予防の時期

フィラリア予防薬は、蚊が飛び始めてから投薬を開始し、蚊が飛び終わってさらに+1 ヶ月後まで毎月1回の投薬をしていきます。蚊は気温が15℃以上で飛び始めますので、当院では、4月から12月下旬までの予防をオススメしています。

 

フィラリア予防を開始する4月までには必ず血液検査を行いましょう。検査料は¥3,000(診察料は別途)です。

 

検査の結果、フィラリアに感染してないことを確認してからフィラリア予防薬をお渡ししております。なぜかというと、万が一フィラリアが心臓内に寄生していた場合、ミクロフィラリアという子虫が血液中にウジャウジャといます。これをやっつけるのがフィラリア予防薬なので、知らずに急に飲ませると子虫が大量に死んでしまい、死んだ虫が肺血管に詰まって呼吸困難などの症状を引き起こす危険性があります。

 

12月に蚊は飛んでないよと皆さん思われるでしょう。しかし、意外に知られてないのがフィラリア予防薬は後攻めの薬だということです。フィラリア予防薬は1ヶ月間効くと勘違いされている方も多いのですが、実は飲ませて1日しか効かないのです!

 

投薬日からさかのぼって1 ヶ月間に感染したフィラリア幼虫をまとめて駆除する後攻めの薬がフィラリア予防薬なのであり、決して1 ヶ月間薬の効果が続くわけではありません。福岡市では、11月中に蚊を見ることもありますので、その1 ヶ月後の12月下旬までしっかり投薬をすることで、殺し残しを防ぐというわけです。

 

生後 6 ヶ月未満の仔犬は、フィラリアに感染している確率が限りなく低いため、フィラリア検査をせずに予防薬をお渡ししております。詳しくはスタッフまでお尋ねください。

 

 

フィラリア予防薬の種類

フィラリア予防薬は、月1回飲むタイプの薬が主流となります。フィラリア予防だけのものから、お腹の虫(回虫などの消化管内寄生虫)を駆除するもの、背中にたらすフィラリアとノミの予防を行うものや、最近ではおやつタイプの食べる薬で、ノミ・ダニまでを1剤で予防するオールインワンの薬も登場し、飼い主さんの負担も少なくなっております。

 

例えば、5kgの犬で代表的な薬の料金は以下の通りとなります。
うちの子にはどの薬が良いのか、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。

 

製品名 効能 剤型 料金
モキシデック錠
モキシハートタブ
フィラリア予防のみ 錠剤
チュアブル製剤
¥1,000
カルドメック錠
イベルメック錠
フィラリア予防
回虫・鈎虫
チュアブル製剤 ¥1,000
インターセプター フィラリア予防
回虫・鈎虫・鞭虫・
瓜実条虫・ 多包条虫
(エキノコックス)
チュアブル製剤 ¥1,700
レボリューション フィラリア予防
ノミ予防
スポット(液)剤 ¥2,000
ネクスガードスペクトラ フィラリア予防
回虫・鈎虫・鞭虫
ノミ・ダニ予防
チュアブル製剤 ¥3,100

(料金は税抜き)

 

※ 当院では注射後のアレルギーを考慮し、フィラリア予防の注射薬は取り扱っておりません。