猫のフィラリア予防について
犬糸状虫(フィラリア)は、犬の心臓に寄生する寄生虫ですが、猫にも感染することがあります。猫も犬と同様、蚊に刺されてフィラリアに感染します。
猫にフィラリアが感染した場合、犬とはまた違った症状を引き起こします。犬のフィラリア症は「心臓病」、 猫のフィラリア症は「呼吸器病」と例えられることがあります。
元々犬の体を好む寄生虫のため、猫の体内で血管内へと侵入したフィラリア幼虫は、免疫細胞による攻撃でほとんどが死滅してしまいます。死んだ幼虫が流れて詰まった肺血管では、激しい炎症反応が起きて喘息のような症状(呼吸困難や咳といった呼吸器症状)が起こります。
確率は少ないですが、そこで死滅せずに生き残った幼虫は、犬の場合と同様、成虫となって心臓に寄生します。成虫も寿命が来ていつか死んでしまいますが、その場合は死んだ成虫が肺血管に詰まり、そこで激しい炎症反応が起き、突然死などの症状を引き起こしてしまいます。
猫でフィラリアに感染するリスクがどのくらいあるのか?日本で行われた調査では、東京都と千葉県の動物病院に来院した地域猫(いわゆる野良猫)の 11%がフィラリアに感染した証拠が認められたという興味深い報告があります。
10%強という数字をどう考えるか、皆さんそれぞれでしょう。外にいる猫の10%がフィラリア症にかかった形跡があり、もしかしたら外で突然死した猫も含めると、もっとたくさんの猫がフィラリアにかかっているのかもしれませんので、個人的には予想より多いなという感想でした。
全国の動物病院での猫のフィラリア症の発生報告を見ると、福岡県をはじめとした西日本での発生は非常に多く、その中には室内飼いでマンションの高層階で飼われていた猫も含まれます。
そのため、猫ちゃんでも毎年しっかりフィラリア予防をしていただくことをオススメしております。
フィラリア予防薬は、蚊が飛び始めてから投薬を開始し、蚊が飛び終わってからさらに1 ヶ月後まで月1回予防をしていきます。当院では、4月から12月下旬までの予防をオススメしています。
フィラリア予防を開始する4月には必ず診察ないしはフィラリアがいるかどうかの血液検査を行います。フィラリア検査料は¥3,000(診察料は別途)です。
12月に蚊は飛んでないよと皆さん思われるでしょうが、意外に知られてないのがフィラリア予防薬は後攻めの薬だということです。フィラリア予防薬は、実は1日しか効きません。投薬日からさかのぼって1 ヶ月間に感染したフィラリア幼虫をまとめて駆除する後攻めの薬がフィラリア予防薬であり、決して1 ヶ月間薬の効果が続くわけではありません。福岡市では、11月中に蚊を見ることもありますので、その1 ヶ月後の12月下旬までしっかり投薬をすることで、殺し残しを防ぐわけです。
猫のフィラリア予防薬は、以前発売していた月1回飲むタイプの薬が今はありませんので、背中にたらすフィラリアとノミの予防を行うものが主流となります。最近では1剤でフィラリア予防、ノミ・ダニの予防、お腹の寄生虫駆除までを1剤でできるオールインワンの薬も登場しましたので、フィラリア予防にプラスしたい効能で選択可能となっております。
例えば、体重4kgの猫で代表的な薬の料金は以下の通りとなります。
うちの子にはどの薬が良いのか、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
製品名 | 効能 | 剤型 | 料金 |
レボリューション |
フィラリア予防 ノミ予防 |
スポット(液)剤 | ¥1,800 |
ブロードライン |
フィラリア予防 回虫・鈎虫・条虫類 ノミ・ダニ予防 |
スポット(液)剤 | ¥2,000 |
(料金は税抜き)