猫のノミ・ダニ予防について
外にいる野良猫はほとんどがノミだらけです。外に出る猫はノミをもらって帰って来ますので、ノミ・ダニの予防をきちんとしておかなければ、他の犬や猫にうつしてしまうだけではなく、ノミはカーペットなどで卵→幼虫→さなぎ→成虫と成長できますので、家の中で大繁殖してしまいます。猫にもマダニが寄生することもあります。
ノミは、ゴマ粒くらいの小さな虫ですが、動きがとても速く、毛をかき分けて見つけてもすぐに逃げてしまいます。また、ジャンプ力もあるので、猫同士が近寄った際にジャンプして移ることも可能です。ノミは、体のあちこちを走り回り、吸血を行う寄生虫です。人の体には寄生しませんが、人にも刺してひどい痒みを引き起こします。
マダニは、ノミのような運動能力を持たないので、草の先端にしがみついて、ターゲットの猫ちゃんが来るのをじっと待っています。
ノミ・ダニの寄生は、様々な病気を引き起こします。ノミがいると痒いのであちこちグルーミングをしますが、その際にノミを食べてしまうと、瓜実条虫(サナダ虫)という寄生虫が腸の中に寄生します。うんちにお米粒くらいの小さな動く虫が出てきます。実はこの寄生虫、動物病院で最も診察する機会の多い寄生虫なのです。
また、ノミの唾液にアレルギー症状を持つ猫ちゃんでは、ノミが一匹しか寄生していなくても、ノミに刺されると、腰や背中にとても強い痒みが出て、腰をかいたりかじったりしてひどい皮膚病が起きます。(ノミアレルギー性皮膚炎)こういった猫ちゃんでは、毎年のように同じような症状で来院することが多いので、毎月しっかりノミの予防をしていただくのが肝心です。
猫が外に出てノミを持ち帰り、自宅で飼い主さんが刺されてしまうこともよくありますので、外からノミを持って帰ることがないように、ノミ予防をきちんとやる必要があります。
また、2013年に初めて日本でも死者が出たSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気も、ヒトがダニに咬まれて感染しますが、発症すると特効薬や効果的な治療法はまだなく、死亡率が30%(高齢者ではもっと高い)と言われる非常に怖い伝染病です。
これまで犬・猫は、感染しても症状を出さない(不顕性感染)と考えられていましたが、2017年に入って犬・猫それぞれでSFTSを発症した症例が相次いで報告され、さらに7月には、感染した野良猫から咬まれた50代の女性が死亡しました。(世界初の報告と大騒ぎになりましたが、咬まれたことが直接の感染源かどうかは分かっておりません)
猫ちゃんは外には出さずに室内飼育することが推奨されますが、どうしても外に出て行ってしまう猫ちゃんは、マダニを人間の生活圏に近づける可能性があります。ノミ・ダニ予防薬を使って定期的に予防をしていくことが、猫ちゃんと飼い主さんともに健康を守ることにもつながるのです。
ノミ・ダニは、気温が13℃を下回ると活発に活動しなくなるため、真冬はあまり外では見かけなくなります。
ですから、フィラリア予防と同じシーズン(4月~12月)の予防をオススメしています。しかし、ノミは少しでも暖かい環境があると室内でも繁殖できるため、外から猫が出入りしたりする環境では、1年中ノミ予防をオススメします。
ノミ・ダニ予防薬は月1回行います。猫でのノミ・ダニ予防は、背中につけるスポット剤で行います。外に出る猫は、犬糸状虫(フィラリア)にも感染するリスクがありますので、フィラリア予防も可能な製剤をオススメしています。
市販のスポット剤も量販店で入手可能ですが、市販の製剤はピレスロイドという強い殺虫剤を使っているものも多いです。猫ちゃんがなめると、後ろ足が麻痺したりといった神経毒性が出ることも多いですし、全身にしっかり効くわけではありませんので、下記のような病院専用薬でしっかりと予防をしましょう。
例えば、4kgの猫で代表的な薬の料金は以下の通りとなります。
うちの子にはどの薬が良いのか、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
製品名 | 効能 | 剤型 | 料金 |
フロントラインプラス | ノミ・ダニ予防 | スポット(液)剤 | ¥1,300 |
レボリューション |
ノミ予防 (※マダニは予防できない!) フィラリア予防 |
スポット(液)剤 | ¥1,800 |
ブロードライン |
ノミ・ダニ予防 フィラリア予防 回虫・鈎虫・鞭虫 |
スポット(液)剤 | ¥2,000 |
(料金は税抜き)